コア・コンピタンス概念における5つのプロセスと立案者
・コア・コンピタンス概念
アンゾフの成長マトリックスは、企業の最終製品や最終市場を2軸で表した、表層の概念とも言える。一方、このコア・コンピタンスは企業の深層の概念とも呼べるものである。
コア・コンピタンスはC.K.プラハラードとゲイリーハメルが、主に日本の企業の強みを研究にすることによって提唱された概念のことである。
自社の顧客に対して、他社には真似のできないような価値を提供する、あるいは企業の内部に秘められた独自のスキルを見出すなど、企業の中核となる能力、と表現している。
具体例としては、本田技研工業株式会社のエンジン技術やソニー株式会社の小型化技術などが挙げられている。
これらのコア・コンピタンスに言えることだが、これらの技術は、5年以上前の段階で、既に未来を見越してその能力を磨き続けてきた成果であるということだ。
つまり、企業のコア・コンピタンスとは、未来を見越して、育てることによってその成功を収めることができるということである。
そのため、企業におけるコア・コンピタンスは、時間経過など市場環境が変わることによって変化するため、継続的に再定義することが望ましい。
また、コア・コンピタンスを重視した経営をするためには、以下の5つのプロセスを継続的に続けることが重要である。
1つは、自社が既に保有しているコア・コンピタンスを発見、あるいは確認することである。
注目して社内の事業を再確認すれば、意外な部分がコア・コンピタンス要素に溢れているかもしれない。ここからコア・コンピタンス経営について考えはじめることが望ましい。
2つ目は、コア・コンピタンスの獲得やその転移、あるいは進化である。これには、新規構築の計画等も含まれる。
3つ目は、コア・コンピタンスを構築するために、それに向かって継続的な努力をすることである。つまり、従業員等の意思統一が重要だということである。
4つ目は、 そのコア・コンピタンスを有効的に活用するために、社内へ向けて再配備することである。これにより、今までの体制から、より効率的な体制への変化が見込める。
5つ目は、他の企業より強力な自社のコア・コンピタンスを守る、ということである。具体的には、開発能力の定期的な評価をするなどが挙げられる。