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ザ・ゴールという伝説の本に出会った話。ボトルネックの徹底的な改善

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ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か

かの有名な経営学の神様である、エリヤフ・ゴールドラット(エイリヤフとも訳される)先生が書いた、ザ・ゴールという伝説の小説があります。

工場における生産性の効率化について書かれた本書ですが、私もこの本に大きな衝撃を受けた一人です。
日本では、なぜか17年間翻訳が許されなかった、いわくつきの本です。

以下は、当時に書いたレビューですが、よろしかったらどうぞ。(かなり簡略的です)

 

 

 

・この本と出会って


本書は、私が数々のレビューサイトを読んだ中にも多くの声が上がっていたことで知っていた。

日本語の翻訳本は、オリジナルの出版から17年後だったといういわく付きの本である。

出版されてから20年以上経つ現在でも、ビジネスマンの入門書・バイブルとして真っ先に紹介される本書だが、最近までその内容を深く理解しようとする機会がなかった。

 

 


2 本書で取り上げられていること


 本書は、とある機械産業の工場長を任されている、アレックス・ロゴという人物を中心にストーリーが展開する「小説」である。

工場の業務内容を改善するためにはどうすればよいのか、というテーマについて深く掘り下げられている。

小説ではあるが、その内容は驚くほど実践的であり、実用的である。

「全体の最適化」と呼ぶ考え方に基づいて経営をいかに立て直すかという内容が小説風に語られている本書だが、全体を通して一番重要な部分は、やはりTOC(制約条件の理論)だ。

 

3 TOC


 TOCとは、サプライチェーン・マネジメントの原点であり、一言で表せば「改善」である。TQC(トータルクオリティコントロール)とは違い、ボトムラインを改善する活動のみを指している。TOCは5つのステップで成り立つ。

ステップ1として、まず「制約条件の特定」をすることによって工場の物理的な制約条件を見つけることから始める。

プロセスを制約しているボトルネックを特定することによって全体の改善を図る。
この「真」の制約条件から重点的に取組むとこが重要である。

次にステップ2だが、「制約条件の活用」をする。制約された資源を最後の一つまで全て使い切り、限界まで生産能力を引き出すことを実践する。実際の工程では、様々な要因で生産能力を100%発揮できていないからだ。これによって最大限まで効率性を上げる。

ステップ3では制約条件に「従属」させる。生産工程のプロセスを最小限にし生産スピードを向上させるために、他のプロセスをボトルネックにあわせて行う。これによって全プロセスのバランスを維持する。

ステップ4で制約条件を「強化」する。設備を増強する、人員を増やす、などの物理的対策を行う。これによって、ボトルネックの能力を拡大させる。

最後にステップ5で再度、「制約条件を特定」する。ステップ4までのプロセスで、制約工程の能力を向上させたため、その工程が変化している可能性がある。そのため、今まで進めてきた正しい行動が崩れないように注意しながら、ステップ1に戻り繰り返し行動する。

上記の5つのステップを実践することにより、生産効率を格段に向上させることができる。

 

4 まとめ

 本書全体を通して感じたのが、ボトルネックを改善することの重要性だ。

ジョナという登場人物のアドバイスを参考に工場経営を次々に改善していくなど、この小説にはTOCの全てが物語調で書かれている。

また、経営の悪化や工場閉鎖の危機など、主人公アレックス・ロゴを取り巻く様々な環境変化がとても丁寧に描かれており、閉鎖寸前の工場を救うためにボトルネックの改善に挑む登場人物たちの苦労や、目標を達成した時の興奮がリアルに伝わってくる。

ビジネスの醍醐味を感じさせるストーリーであり、そのストーリー展開も非常に楽しめるものがあった。

 本書は、世界で250万部売れたのにも関わらず、出版されてから17経つまで、日本語の翻訳がされなかった。

この理由については、「解説」で「日本人は、部分最適の改善にかけては世界で超一級だ。その日本人に『ザ・ゴール』に書いたような全体最適化の手法を教えてしまったら、貿易摩擦が再燃して世界経済が大混乱に陥る」と書かれている。

日本でもう少し早く本書の翻訳が行われていたら、今の世界経済は変わっていたのではないだろうか。